自家焙煎珈琲パイデイアの「焙きながらするほどでもない話」第11回です。
つい最近まで、といっても来月に引っ越してきてから初めての更新があるので、すでに2年経っていることになりますが、茅ヶ崎に住んでいました。
サザンオールスターズが好きだというだけで、サザンビーチから歩いて3分くらいのところに住んでいました。
静かな街並みと生活に不自由しないくらいの田舎感、生き急いでいない人柄と、とてもいいところでした。
先日、茅ヶ崎で好きだったタルト屋さんの季節限定のタルトを買いに、久しぶりに茅ヶ崎へ行きました。
久しぶりと言いましたが、もとい、サザンの茅ヶ崎ライブ以来なので、まる1ヶ月ぶりくらいでしょうか。
せっかく茅ヶ崎に行くのだから、よく通った珈琲も飲み行こう、ということで藤沢から向かって、茅ヶ崎の一つ手前、辻堂で途中下車しました。
辻堂駅南口から浜竹通りを通って桜道へ。
割と具体的な地名をあげているのは、私が懐かしんでいるから、というだけです。知らない土地の方、すいません。
桜道を10分くらい行くと、見えてくるのが「珈房」さんです。
季節のブレンドの名前が毎回オシャレで、今回頂いたのは「秋海棠」、紹介には和歌が添えられています。
一口目の香りの心地よく立ち上がり、軽い苦味の後、舌に残る酸味がフルーティーで美味しかったです。前は焙煎をお店でされたいたそうで、その焙煎を師事したのが、私と同じ師匠のオーナー(こちらをご参照ください)なる人物というご縁もあり、私は勝手に兄弟子だと思って慕わせていただいています。
日曜の夕方、店内はご近所の常連さんで満席。お店の居心地の良さからご近所に愛されるのも納得です。また、マスターの人柄も懐が深くて、話が尽きません。珈琲で食べていきたいと思う人間にとって、まさに憧れてしまう人柄とお店です。
そんな珈房さんを後にして、バスで茅ヶ崎駅南口へ。
お目当てのタルトを高砂通り(また懐古の地名です)のイタリアンで購入。今季は和栗と棒茶のタルトという秋らしい組み合わせ。ホクホクで店を後にして、駅までの道すがら、この間焙いたブラジルなんか合うんじゃないかな、なんて一緒に飲む珈琲のことまで考えちゃうご機嫌ぶり。
時間もまだあることだし、タルトには保冷剤を入れてもらったことだし、もう一件、茅ヶ崎で珈琲を飲んで帰ろうと、向かう向かった先は茅ヶ崎に古くからある名店「チェス」さん。
懐かしの茅ヶ崎珈琲巡りにルンルンしているのも束の間。目の前に着くと、お店があったビル自体がなくなっている。あるのは真新しい木の枠組みだけ。
なんでも今年の5月にお店を閉店されたらしい。
引退なさるにはまだお若く、まだまだ元気に見えたマスターご夫妻でしたが残念です。
好きなお店もいつかは無くなってしまう、という悲しい実感をしました。
少し前も、何度か前を通って、なんかあったら行ってみようと思っているが閉店していることを聞かされました。一回は行っておけばよかったと思う時には、もう手遅れね。
新しいお店が出来ていく一方で、昔から名店が減っていくのは物悲しいものがあります。やっぱり「チェス」にはもう一回行っておけば良かった。
ずっと同じ街があるように見えても、その街を創り上げている一つ一つのお店や人まで同じとは限らないわけです。
なんてちょっとした哀愁も束の間、家に帰ると、そこにはタルトがあります。
さっきまで、ちょっと切なくなっていた時間はなんだったのか。パイデイアのブラジルとベストマッチな美味しいタルトでした。
全く関係ない話ですが、noteを始めました!
毎週火曜日、私が見聞き読み行きした面白いコンテンツの備忘録を書いています。
第一回の今週は九月さんという芸人さんの「走る道化、浮かぶ日常」というエッセイ集についてです。
ぜひ、珈琲時間にご一読ください。