第9回 ある時にはプロでありたい

自家焙煎珈琲パイデイアの「焙きながらするほどでもない話」第9回です。

大台の10回も目前です。そもそも10回を「大台」なんて言っている時点で目標の低さというか、程度が知れるというか…

まあ、書く習慣をつけるために毎週金曜日を締め切りにして書いてるもんですから、まずは内容がなくても書き上げて更新するということをしているわけです。

とにかく期日までに間に合わす、と言うのは、どんな分野であれプロを名乗る最低限の資格ではないかと考えています。

このことを考える時、いつも「最後から二番目の恋」というフジテレビのドラマでドラマプロデューサー役を演じた小泉今日子さんが、新人脚本家がいつまでも脚本を提出してこないことに対して、凄んでいるの映像を思い出します。

それと同時に思い出すのは、ラーメンズというお笑いコンビで、今は劇作家として人気を集めている小林賢太郎さんの「〆切とは、完成品の更新をやめるときのこと」という彼の著書にあった言葉です。

珈琲の焙煎なんて、どこがゴールかなんて、はっきり言って誰もわかっちゃいない。

美味しく焙けた、といったって、それがその人にとって本当に一番美味しかったのかはわからないわけです。

私が焙煎のプロをかたるには、そりゃ、世の中的にはおこがましすぎると思いますが、少なくともパイデイアの豆をお金を出して買ってくださる方や喫茶店さんに関しては、プロでなくてはいけないと考えています。

パイデイアの珈琲をメニューに載せてくださっている以上、そのお店にはパイデイアの豆がないといけないのです。

必要だと発注をかけてくださるなら、期日までに納品することがプロとしての最低限の姿勢だと心がけています。

期日のためには、ある時には計り知れない焙煎にゴールを設ける必要があります。

「豆がそろそろなくなりそうなので、1㎏納品お願いします」

「すいません、満足いく焙煎が出来なかったので、まだ納品できません」

「いつ満足のいく焙煎が出来ますか?」

「わかりません」

これでは納品先の喫茶店さんからしたら商売になりません。

納期のためにある程度の焙煎にゴールを定めることを妥協だという捉え方もあるのかもしれませんが、それはあくまでも焙いている私の内省であって、パイデイアの豆を必要としてくださっている方とは関係がないっちゃないのです。

ある一定の完成度を保証しつつ、納期は守る。自己満足の完成度はその納期の中で高めていく。

これがお金をいただくプロとしての仕事の仕方だと思っています。

だから、このコラムでは毎週金曜日と期日を設けて、ある一定の完成した文章を仕上げる。その練習をしているわけです。必ずしも満足のいく文章であるとは限りません。更新した後に後ろ髪を引かれるようなこともあります。

プロとは、自分の仕事に対して常に後ろ髪を引かれ続ける存在なのかもしれません。

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